あえて弱音を吐いてみる

「このくらいで弱音を吐いちゃいけない」

 気付いたら、そんなふうに自分を叱っていませんか。

 仕事で大きな失敗をしたわけでもないし、誰かにひどいことを言われたわけでもないのに、それでも、ふとした瞬間に「もう少し、楽になりたいな」と思ってしまう時があったりしませんか。

 本当はしんどいのに「自分より大変な人がいるから」と、弱音ごと飲み込んでしまったりして、 まじめで頑張り屋な人ほど、そんなふうに自分に厳しくなってしまいがちです。

 

 私たちのまわりには「愚痴を言わないのが美徳」「弱音を吐くのは恥」という空気が、まだどこかに残っています。子どもの頃に「泣かないの」「我慢しなさい」と言われ続けた経験があると、弱音を出すことそのものが「悪いこと」のように感じてしまうこともあります。 一度「もう二度と泣かない」「弱音なんて吐かない」と決めてしまうと、その約束を大人になっても守り続けてしまうのです。

 それに、弱音を出したときに「そんなの大したことないよ」と軽く流されたり「もっとがんばれるでしょ」と跳ね返された経験があると「やっぱり言わなければよかった」と、自分の気持ちごと封印してしまいます。

 そうして「弱音を飲み込むこと」に慣れていくほど、心の中には、誰にも言えなかった気持ちだけが少しずつ少しずつ、溜まっていきます。 

 

弱音は、心からの「そろそろ休んで」サインです。

弱音は、決して「ダメな自分」の証拠ではありません。 弱音が口からこぼれそうになるとき、心の中ではいつも、小さなアラームが鳴っています。

「このまま走り続けると、ちょっと危ないよ」や「そろそろ休ませて」と、心と体が送ってくれるメッセージなのです。 

弱音を吐くことは、甘えではなく、自分を守るための行動です。 

がまんして緊張を張りつめ続けると、心と体はいつか限界を超えてしまいます。 その前に「もう無理だから、少し緩めよう」と教えてくれるのが、弱音というサインなのだと思います。 だから本当は「弱音なんて情けない」と責めるより先に 「教えてくれてありがとう」と、心からのサインを受け取って、自分の気持ちに耳を傾けてあげて欲しいのです。

 

とはいえ、いきなり人に本音を全部話すのは、ハードルが高いかもしれません。 ここでは、少しだけ試してみやすい弱音の出し方を、いくつか挙げてみます。

 ひとつめは、ノートに書くことです。 今日しんどかったことを、3つだけ書き出してみます。 

「朝起きるのがつらかった」「仕事に行きたくなかった」「なんとなくずっと不安だった」

 こんなふうに短い言葉で大丈夫です。 書き出すことは、心の中にたまった水を、少しだけ外に流してあげるような働きがあります。

ふたつめは、ひとりごとのように弱音を置いてみることです。 部屋でひとりになれたときに 「今日はよくがんばったね、わたし」や「本当はちょっと、しんどかったよね」と、小さく声に出してみます。 それを誰にも聞かれなくてもかまいません。 声にしてあげることで「そんなふうに感じていたんだね」と、自分自身が自分の気持ちを知ることができます。

みっつめは、信頼できる人に、弱音を一言だけ話してみることです。

「ちょっと聞いてほしいことがあるんだ」と前置きして、全部を説明しようとしなくて大丈夫です。「最近なんだか、ずっと疲れていてさ」とか「理由はうまく言えないんだけど、気持ちがしんどくて」と、最初はぼんやりした弱音のままでかまいません。 弱音を聞いてもらうだけで、心がふっと軽くなることがあります。

 

もしこれから、「あ、弱音が出そうだな」と感じたら、 それは、あなたの心がちゃんと自分を守ろうとしてくれているサインかもしれません。すぐに全部を話せなくても、ノートに一行だけ書いてみることや「今日はちょっとしんどいな」と小さくつぶやいてみることからでも大丈夫です。 

弱音を上手に外に出せるようになればなるほど、心は少しずつ折れにくくなっていきます。 がんばる日も、うまくいかない日も、そのどちらのあなたも守るために、 これからの毎日に「そろそろ休んで」という自分からのサインを、少しやさしく受け取ってあげられるといいなと思います。

 

弱音

 

投稿者プロフィール

大野 香
大野 香くれたけ心理相談室(愛知 東浦支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室(愛知 東浦支部)は、愛知県知多郡東浦町を拠点に心理カウンセリングを承っております。エリア外の皆様にも、ズームや電話等によるカウンセリングにて対応させていただいております。

ふっと一息、呼吸をしに来ていただけるよう、相談者様に寄り添い、一緒に解決策を探したり、あなたらしく歩めるお手伝いをできたらと思っています。

心理カウンセラー 大野 香

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